中国は日本を抜いて世界最大の外貨を保有する国になった。その運用益を実に見事な方法で使っている。
国家教育基金を設立し、それを教育基金委員会という組織に任せ、海外留学を通した人材育成事業に当てているのである。
その計画は膨大なスケールで、毎年国立トップ大学の博士課程から優秀な人材5,000名を厳選し、留学資金を提供。「海外の一流大学、一流学科の一流の先生についで学ぶ」ことをスローガンに、大々的に留学生派遣事業を展開しはじめた。
年間5,000人、それも博士課程で、連続して3年間の留学経費を提供するシステムなので、常時15,000名という膨大な数の博士留学生を派遣することになる。
ところが困ったのは、アイビーリーグのような世界トップクラスの高等教育機関である。もともとトップクラスの大学の数は限られており、その中の一流学科も人数は知れている。
更に一流の学者となると数えられるほどの人数しかいない。この限られたキャパシティでは、中国から派遣される優秀な博士課程の留学生15,000名にはとても対応しきれないのが現状ある。
下手をすると、トップクラスの教授の下に来る博士課程の留学生は全部中国人になってしまう恐れもあり、中国在外公館の教育担当者からの強い要請に、断るケースが多発しているようである。
人材養成は国の基である。今日の日本の若者は内向き志向で、外務省に奉職しても海外勤務を敬遠する傾向すらあるという。また、政治、経済をはじめ、あらゆる分野でスケールの大きい人材の不足を嘆く声も多い。
人材は勝手に育つものではない。
「10年、木を植える。100年、人を育てる」という。
時間と金がかかるのである
無資源国・日本の唯一の資源は人材であることを忘れてはならない。
*アメリカの大学・大学院に在籍する留学生総数 671,616人(2008.9)
*留学生の出身国上位5ヶ国(2008.9)
1位:インド 103,260人
2位:中国 98,510人
3位:韓国 75,065人
4位:カナダ 29,607人
5位:日本 29,264人
*1994年度から1997年度までは、日本人留学生が第1位を占めていたが、インド・中国からの留学生が急増した結果、現在5位となっている。